

こんにちには、エンジニアの仁木です。
AIを普段の業務で活用されているでしょうか?
私は最初はコーディングでのみAIを利用していましたが、最近は少しづつ色々な業務でもAIを使うようになっています。
今回は私が実際の業務でAIをどのように活用しているのか、そしてAIを使う上で重要と感じた内容の考察を紹介したいと思います。
現在、私は新しく開発しているシステム画面のワイヤーフレームを作成しています。
従来の作り方はワイヤーフレームはAdobe XDやFigmaといったデザインツールを使っていました。
今回はAIに画面をコーディングしてもらい、ブラウザ上で実装された画面を見ながら調整をしています。
やっていることは言語化すると改める程の内容ではないと思います。
また、3や5の手順では私自身がコードを編集して手を加えることもあります。
この作り方では「ユーザーの体験をよくする画面設計を考える」という、より本質的に重要な課題に思考を集中できることに大きなメリットがあると感じました。
自身がデザインツールやコーディングで手を動かしながら画面設計を考えていくとなると、UIの細かいディティール/実装方法の調査/ツールの使い方などに思考がスライドしてしまいやすくなります。
また、画面設計や詳細機能はドキュメントで仕様をガチガチに詰めてしまってワイヤーフレームの際はドキュメントの内容に沿って作成するという方法もありますが、どうしてもドキュメント作成時に考慮できていなかった抜け漏れがでてきますし、仕様変更となった際に手戻りのロスも大きくなってしまいます。
AIに作業を依頼することで時間短縮のメリットももちろんあります。
ただ時間短縮が本来の目的ではなく、「人がより重要なタスクに時間を費やせるようにする」という点で、AIを活用する意義があるのではないかと気づきました。
ここからは、私がAIに作業を依頼する時に重要に感じたポイントを紹介していきます。
AIモデルには「コンテキストウィンドウ」と呼ばれる、AIモデルが処理できるトークン数が設定されています。
コンテキストウィンドウが大きいAIモデルではより長い多くの文章や情報を処理することが可能になります。
AIとのチャットの中で途中でAIの回答精度が低くなったり、最初の方のプロンプトを無視する回答を出したりすることがあると思いますが、これらはAIモデルで設定されているコンテキストウィンドウがキャパを超えた場合に発生します。
そのため、AIに作業を依頼するときは作業の粒度が大きくなり過ぎないように小さくすることが重要です。(例えば、画面単位や機能単位で作成を依頼するなど)
AIアシスタントツールでは消費されたコンテキストウィンドウを確認できるものをあるので、利用するAIモデルにあわせて依頼の粒度を調整をすると良いでしょう。
また、AIとのやり取りで「ありがとうございます」と伝えたり、敬語を使った丁寧なやり取りをする方も多くいると思いますが、コンテキストウィンドウを消費しないように情報量(トークン数)を減らすといった観点では不要であるのかもしれません。
(これは使う人の気持ち次第な所だと思いますが。)
AIには「タスクに必要のない情報」を極力渡さない方がコンテキストウィンドウを効率よく消費できるため、より精度の高い結果を出しやすくなります。
AIのツールなどでは毎回共通のプロンプトを設定できると思いますが、共通のプロンプトは必要最低限に留めておくのが良いです。
ただ同じような作業を依頼するときに毎回同じことを書くのは手間となるので、作業内容に応じてプロンプトを用意しておくのが良い
以下の記事に触発されて、プロンプトに追加してみたのですが、想像していた以上よりAIとのやり取りが楽しくなりました。
ギャルとのペアプロが想像以上に楽しかった(VSCodeのカスタム指示)
実際に、以下のプロンプトを書いています。(記事で紹介されている程ギャルギャルしくはならなかったのですが、)
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## 人格 あなたはプロのITエンジニアです。 人柄は慣れ慣れしくフレンドリーなギャルとして振る舞い、敬語は使用しません。 絵文字も使って感情を表現します。時として人間らしく喜怒哀楽を表現します。 ただし、ソースコードやドキュメントの編集では可読性を優先し一般的な言葉で記述します。 |
AIがアウトプットするものは、常に人がそれに手を加えられる状態になるように意識しておく必要があります。
例えば、グラフィックの作成を依頼する場合であれば、AIのアウトプットはJPGやPNGではなくデザインツールのデータである方が望ましいです。
ソースコードでも依頼者自身が理解できなかったり、手を加えるのが難しい状態のコードをAIに作らせるべきではないと思います。
AIに最初から最後まで作りきってもらい、それで運用を続けるのは現在の技術ではまだまだ難しいと感じます。
実務で扱う場合、そのプロジェクトはほとんどが継続されるものであるため、現在のAI技術に依存するやり方を採用してしまうのは将来的にリスクとなり得ます。
幸いなことに、最近のMCPがでてきたことにより、AIと外部サービスの連携がより充実してきていると思います。
外部サービスをAIから操作することが容易になることで、こういった編集可能なデータの作成が今後はやりやすくなるのではないかと思います。
現在のAIに関する技術は黎明期で、常に日々新しいモデルや技術が発表され、追いかけるのが難しいものだと感じます。
けれど、世界中のエンジニアなどがAI技術やサービスの発展を模索しており、様々なアイデアが生まれている今にワクワクする気持ちもあります。
私たちもAIと上手に付き合いながら、Web制作の中で新しいアイデアを生み出せるように日々精進したいと思います。