こんにちは、三輪です。
テレワークという言葉がすっかり定着した今日この頃ですが、一口にテレワークと言っても実現するためのツールはいろいろとあります。
今日はその中の一つ、「シン・テレワークシステム」をご紹介します。
なお、執筆時点ではWindowsでのみ利用可能なツールとなっております。ご了承くださいませ。
シン・テレワークシステムは、NTT東日本と情報処理推進機構(IPA)が中心となって構築したシステムで、2020年10月31日まで無料公開されています。
会社のプロキシサーバーやファイアウォールの設定を変更する必要はなく、HTTPS (TCP ポート443) が外向きに通信できる環境であれば、すぐに利用可能です。
最大の特徴は、自宅や会社など、専用ソフトをインストールしたPC同士をSSL-VPL(暗号化通信)を利用して接続できること。
ソフトをインストールすれば暗号化通信が利用できるので、VPN環境を持っていない企業でも安全に業務を行えるメリットがあります。
しかも、画面転送型(実際の処理はサーバー=会社PCで行い、クライアント=自宅PCには画面データだけを送信して表示させる)のシステムなので、更に安全性が高まります。
システムを利用するためには、会社と自宅のPC両方へのソフトのインストールが必要です。
例では、会社で先にインストールした場合を想定して薦めます。
順番は、会社と自宅、どちらが先でも問題ありませんが、
自宅PCにインストール→会社PCにインストール→自宅に帰って接続確認
よりは、
会社PCにインストール→自宅PCにインストール→接続確認
の方が、作業が一往復で済みます。
まずはシン・テレワークシステムのプログラムをダウンロードします。
2020年7月15日現在、最新版は0.16(Beta6・ビルド9803)です。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてインストールを実行します。
「次へ」をクリックしてください。
会社PCの場合は、「シン・テレワークシステム サーバー」を選択して「次へ」をクリックします。
(自宅PCから先に行っている場合は、「シン・テレワークシステム クライアント」を選択してください)
使用条件に目を通し、「使用条件に同意します」にチェックを入れて「次へ」をクリックします。
重要なお知らせに目を通してください。
このシステムの無料配布を含む一連の取り組みは、実証実験という位置付けなので、内容も頻繁に更新されます。
バージョンアップで内容が改変されている場合もありますので、しっかりとお目通しください。
インストール先を選択します。デフォルトのままで問題ないので「次へ」をクリックします。
「次へ」をクリックすると、インストールが開始します。
「完了」をクリックします。続いて設定を行います(後からでも可能です)
各項目を設定します。
ここを触るのは基本的に最初だけですが、後から変更可能です。
「コンピュータID」の欄にこのPCを識別するための名前を付けます。ここで付けた名前は、シン・テレワークシステムでのみ使用されます。
「このコンピュータのコンピュータIDを’上で設定した名前’に設定しますか?」と聞かれたら、「はい」をクリックしてください。
※インターネット上で同じ名前が使用されている場合は、警告が表示されます。その場合は、別の名前を指定してください。
インターネット接続にプロキシサーバーを使用している場合は、プロキシサーバーの設定を行ってください。
次に、パスワードを設定します。
「セキュリティ設定」をクリックします。
「パスワード認証を使用して、このコンピュータを安全にする」にチェックを入れ、パスワードを入力します。
なお、この最初に設定したコンピュータの識別名とパスワードは、自宅PCから接続する際に必要となりますので、必ず控えておいてください。
「OK」→「閉じる」をクリックして設定を終了します。
これで、会社PC側の基本的な設定は完了です。
自宅PCでも、インストールの手順は会社PCの場合とほぼ同じです。
インストールするソフトウェアの選択画面では、「シン・テレワークシステム クライアント」を選択してください。
「シン・テレワークシステムを起動します」にチェックが入っている場合は、「完了」をクリックするとクライアントソフトが起動します。
起動しない場合は、デスクトップにショートカットが作成されているので、ダブルクリックで起動してください。
「接続先コンピュータID」欄に、会社PCで設定したコンピュータの識別名を入力して「接続」をクリックします。
パスワードの入力欄が表示されたら、会社PCで設定したパスワードを入力して「OK」をクリックします。
接続が開始されます。
音が出るようにしていると、ちょっと久しく聴く機会のなかったピーゴー音が鳴りますので、音量にご注意ください。
ピーゴー音が静まって程なく、会社PCのデスクトップが表示されましたが、私の環境では何やらメッセージが表示されています。
何と、Windowsのエディションによっては動作が遅くなる場合があるらしいです。
会社PCのエディションはHome。動かしてみると、問題なく動いてはいますが確かに動作がカクつきます。カーソルもワンテンポ遅れてついてくる感じ。
インストールしたアカウントには管理者権限があるし、会社も自宅もPCのスペックと回線速度は問題ないはずなので、原因は間違いなくOSのエディション。これは盲点でした。
公式サイトにも特に注意は出ていなかったように思うのですが、見落としていたのかも…。
表示や動作そのものには問題ないので、動きは少々ノンビリなことに目を瞑れば、十分使えそうです。
終了時には、右上の「×」をクリックしてください。
余談ですが、終了すると労いの言葉が頂けます(笑)
上でも書いたように、この取り組みはあくまで新型コロナウイルス対策としての実証実験という位置付けで、サポート等は受けられません。
でも、筑波大学がプログラムのソースコードを、ソフトイーサが「SoftEther」という高レベルなセキュリティ技術を無償提供していたり、かの「ニコニコ動画」のインフラを受け持っているKADOKAWA Connectedが、これまた無償でバックボーンを提供していたりと、日本中の有志が協力し合って構築されています。
これさえ使えば絶対安全!という保証はありませんが、信頼度の高いシステムを提供している企業や組織の英知が詰まったシステムであることは確かです。
ぜひ正式版をリリースして本格稼働していただきたいものです(できれば無料続行だと嬉しい)
テレワークを実践したいけれどセキュリティが心配…という場合、検討に値するツールだと思いますので、よろしければお試しください。