こんにちは、三輪です。
先日、出勤してさぁPCを使おうとしたら、前日からメンテナンスのために起動したままにしていたWindows機の画面が真っ青(ブルースクリーン)になっていました。
幸いすぐに復旧してくれましたが、朝イチから心臓に悪いことこの上ありません。
こういう非常時に備えて、緊急起動用のDVDやUSBメモリを作っておくべきだなと思い、そういえばMacでは作ったことがないなと調べたところ、ソフトを使わずともコマンドを叩くだけで作れるという情報を得たので、早速試してみました。
PCというのは、割と前触れもなく突然起動しなくなったりします(予兆がある場合も多いのですが、よほどあからさまに現象として現れない限り、見逃しがちです)
データの取得、または復旧のために該当のPCの中のデータにアクセスしたい…そんな時に役に立つのが緊急起動用のメディアです。
本来は内蔵されているHDDやSSDから起動されるところを、PCを起動できる情報を持ったDVDやUSBを使うことで、プッツンしたPCを起動し、データにアクセスできるようになります。
今回は、オープンソースのUbuntuというLinux OSを使ってみたいと思います。
USBメモリが丸ごとOS化されるので、大切なデータが入っているものは絶対に使用しないでください。データにアクセスできなくなる可能性があります。
普段使用していないもの、または起動用に新しく購入することをおすすめします。
UbuntuのISOファイルは、公式サイトでダウンロードできます。
今回は日本語で使用したいので、日本語Remix版をダウンロードします。
バージョンは最新版でOK。2020年10月現在は20.04.1が最新版です(この記事を書いた直後に20.10がリリースされましたが、LTS(長期サポート)版ではないので、とりあえず別物としておきます)
ISOファイルとは、1枚のCDやDVDの中身を1つにまとめたファイルです。これをCDやDVDに書き込むことで起動用メディアを作成できます。
まずはターミナルを起動して、ダウンロードしたファイルの場所へ移動します。
今回はデスクトップに保存したので、そちらへ。
コマンドを入力したら、Enterキーを押して実行してください。
1 |
cd desktop |
更に、以下のコマンドを入力。
ダウンロードしたISOファイルを、イメージファイルに変換します。
1 |
hdiutil convert -format UDRW -o ubuntu ubuntu-ja-20.04.1-desktop-amd64.iso |
「-O ubuntu」が出力ファイルの指定です。この場合「ubuntu.dmg」が作成されます。
その後ろにはダウンロードしたISOファイルのファイル名が続きます。ご自分が使いたいバージョンに合わせて変更してください。
次に、この「ubuntu.dmg」をUSBメモリに書き込みます。
…と、その前にUSBメモリのディスク番号を確認しておくといたしましょう。
使用するUSBメモリをPCに接続して、以下のコマンドを実行します。
1 |
diskutil list |
/dev/disk0、/dev/disk1のようにディスク一覧が表示されると思います。
「SIZE」欄をご覧ください。接続しているUSBメモリに一番近い容量のものがUSBメモリを指しています。
今回は32GBのUSBメモリを使っているので、容量の近い/dev/disk3がそれだと分かります。
確認できたら、アンマウントしておきます。
1 |
diskutil unmountDisk /dev/disk3 |
USBメモリに書き込みます。
1 |
sudo dd if=ubuntu.dmg of=/dev/rdisk3 bs=1m |
「if=」の後の「ubuntu.dmg」が作成したイメージ名、「of=」の後の「/dev/rdisk3」が書き込み対象のメディアの指定となります。
USBメモリが/dev/disk1だった場合は「of=/dev/rdisk1」になります。diskとrdiskは、同じディスクを指しています。
ここで指定を間違うと、「使用中だから書き込めないよ!」と(英語で)怒られたり、情報が書き換えられて二度と起動しなくなったりしますので、くれぐれもご注意ください。
パスワードを聞かれた場合は、ソフトをインストールする際等に入力しているパスワードを入力してEnterキーを押してください。
書き込みが終了すると「セットしたディスクは、このコンピュータで読み取れないディスクでした」と表示されます。「取り出す」をクリックして終了です。
作成したUSBメモリで本当に起動できるのか確認してみたいと思います。
まずは、PCを一度シャットダウンしてください。
【Mac】
optionキーを押しながら電源ボタンを押します。
起動できるディスクが並びますので、USBメモリを選択します。
他にUSB機器を接続していない場合は、一番最後(右端)である場合が多いです。
【Windows】
電源投入直後から、BIOSセットアップ画面に入るためのキーをケン〇ロウのごとく連打してください。
(どのキーを押すかはメーカーによって異なるので、取扱説明書やメーカーのホームページをご参照ください)
BIOSセットアップ画面が表示されたら、USBメモリから起動できるように起動順序を変更します。
この辺りもメーカーによって異なるので、ご自分の環境をご確認ください。
以降の手順はどちらも共通です。
起動画面が表示されたら、一番上の「Ubuntu」を選択してEnterキーを押します。
画面が変わったら、左の言語一覧で「日本語」が選択されていることを確認して「Ubuntuを試す」をクリックします。
PCのスペックによりますが、しばらく待つとデスクトップの画面が表示されます。
左のアイコン一覧の「ファイル」アイコンをクリックして、「他の場所」をクリックします。
すると内臓、もしくは接続されているドライブが表示されます。
後は、お好みの場所にデータをバックアップしてください。
今回は起動用USBメモリをMacで作成したので、Macで起動できるかを真っ先に試しました。
起動は問題なしでしたが、肝心の内臓HDDにアクセスできませんでした。
エラー情報を参考に調べてみると、アクセスしようとした内臓HDDが、Macの新しいファイルシステムである「APFS」フォーマットであることが原因のようでした。
APFSは「Apple File System」の略で、その名のとおりApple独自のフォーマット形式。2017年に発表されたmacOS 10.13 High Sierraから導入されています。
私のMacさんは10.14なので、ガッチリはまってしまいました。
今後開発が進めば、他のOSもAPFSフォーマットに対応してくれるかもしれませんが、しばらくは様子を見るしかないようです…(一応ツールはあるみたいですが、有料でした)
画面の右上に、電源のアイコンがあるのでクリックします。
出てきたメニューの「電源オフ」をクリック。
確認画面が表示されるので、「電源オフ」をクリックしてください(60秒経過すると、自動的に電源オフが開始されます)
しばらく待つと「Please remove the installation medium,then press ENTER:」と表示されるので、USBメモリを抜いてEnterキーを押してください。
Macの世代によってはデータを覗けないという哀しみは残るものの、たったあれだけのコマンドの実行で普通のUSBメモリをパソコンを起動させる能力を持たせられるというのは、やっぱりスゴいです。今までは専用ツールを使っていたので、OSの標準機能だけで作れると知った時は感動しました。
作成したメディアは基本的にどのPCでも使用できますし、USBメモリなら中身の書き換えも容易なので、PCが元気な時に1本作っておくことをおすすめします。